賄賂@ブルガリア


 
 行をしていると色々なトラブルに遭遇することになる。
旅(トラベル=Travel)とトラブル(トラブル=Trouble)は似ている、それは旅中に限ってトラブルに
巻き込まれることから語源が同じだとする話も聞いたことがあるからだ(未確認)。

 がブルガリアという国にいる時の事だった。
ルーマニアのから入国したのだが、ヒッチハイクを何度もして国境を越えていたため
私は越境に関する知識を全然得ないまま、ブルガリアという国に入ることになった。
日本人の私達にはブルガリアヨーグルトで非常に有名な国であるが、
実際ヨーグルトはこの国ではそれほど有名(一般的)ではなく、
私は得意のカルチャーショックを受けていた。

 ルガリア観光はそこそこに私は次の目的地であるトルコに移動しようとしていた。
いつも自分でバスターミナルまで行ってチケット探しをする私は、例によって訪れていた。
ブルガリア、ソフィアの長距離バスターミナルはかなり複雑で、ブースが整列していないどころか
文字がキリル文字なので全くわからないのである。
私は人に聞いて、案内してもらった。

 務所の中はこぎれいで、私は少し不安を払拭して夕方6時発の便に乗ることにした。
当然夜行バスという話だったので、現地到着は次の日の朝になる予定だと思い込んでいた。
私を含めて乗客は3人、ユーゴスラビア人とブルガリア人と日本人の私であった。
大きなバスに3人の乗客、こんな不自然なことが起こっているのに私は快適だと曲解していた。
 
 境に到着して、パスポートを見せたのだが、私の前に見せたユーゴ人がなにやら黄色い紙
を別途係官に提出しているのが遠目だが確認できた。
私の番になってパスポートを見せると、
「宿泊証明書は持っているのか」という質問がなされた。
その質問を受けたとたん、さっき彼がもっていたのはそれだと気づいた。
それと同時に私にはその紙がない、つまり話がややこしくなるという危惧もあった。
私は彼に、「すいません、ないんですが。」と丁寧に答えたのを覚えている。
すいませんで許されるなら、警察ではないが国境審査は必要ない。
老いたその係官は私に食い下がってきて、
「その紙がないとあんたを向こうへやることはできないんだがね。」
なんて台詞を言ってみせる。

 こからが押し問答の始まりである。
私もないものはないんだから、と若干開き直りを見せて老人に詰め寄る。
ここで英語が出来るのが果たしてよかったのかどうかわからないが、
私は彼の言っていることが理解できるがために知らない振りができなかったのである。
かれこれ小1時間文句を言い合ったのだろうか、氷点下10度の中他に車も来ない国境で
一人東洋人が奇声でも発しそうな勢いで抗議する。
当然バスは私を待っているのだが、ついに運ちゃんが痺れを切らして降りてきて言った。
「払えばいいんだよ、ユーロ」、と。
係官は決してその言葉を口に出さない。
結局私は運転手のアシストにより、係官に10ユーロをパスポートに挟んで渡したのである。
今となっては「あんなこともあったなぁ」で済む話だが、当時の私は悔しさがこみ上げてきた。
二度としないように、必要書類はちゃんとチェックしておかないと。

 からないのは、今も当時も本当にその書類が必要だったかということ。
















100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!