四ノ噺 運命的な出会い
あなたは運命的な出会いを信じるだろうか。
今の彼女や奥さんと運命的な出会いをした、という人もいれば
その出会いは運命的な出会いを装った必然的な出会いだった人も多いだろう。
私は運命なんて信じないが、信じたくなるような出来事が起こった。
あれは…私がスイスへ旅行した時の事だった。
チューリッヒの「Backpacker's Inn」に泊まっている時に、
もう一人日本人旅行者の人がいた。
当然ながら、彼も旅行者であるのでこれからの行き先は私とは全然違い
ドイツへ抜けて…というような話をまずするわけである。
私も当時は、オーストリアから北上する予定だったので、その旨を伝えた。
彼とは1,2日宿を共にしただけで別れた。
しかし、私は偶然彼と再会する事になった。
それは、チューリッヒの出来事から約1ヵ月後の事だった。
その頃私はルーマニアにいたのだが、
雪深い内陸の田舎町を訪れようと思った。
電車に飛び乗って、私が向かった先は「シギショアラ」という街。
私がふらふら−10℃の昼下がりを歩いていたら、
前から日本人らしき3人組がやってくるではないか。
よく見ると、女性2人と男性1人のパーティーだった。
その男性は私がチューリッヒで会った人だったのだ。
彼は気づいておらず、「どっかで会ったような」とか言っていたので、
チューリッヒで会ったというとすぐに思い出してくれた。
しかし、面白いのはこれからだった。
実は一緒にいた2人の女性の方も私は見かけたことがあったのだ。
彼女達はウィーンにいるときに西洋美術館で見た。
その時は「モネ展」が行われていたようで、美術に疎い私が「とりあえず」
というような動機で見に行った時に彼女達は鑑賞していた。
東京・新宿での待ち合わせにも会えない私である。
半径1キロもないような新宿周辺であえないのに、
数千キロあるヨーロッパで約束もしていないのに、再会できる私の強運?
あれはやはり運命だったのか。
|
|